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ファクタリングと電債(でんさい)の違いと選び方ガイド

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ファクタリングと電債(でんさい)の違いと選び方ガイド

ファクタリングと電債(でんさい)の違いと選び方ガイド

事業を営んでいると、売掛金の回収や資金繰りの問題は常について回ります。そんな中で注目されているのが「ファクタリング」と「電債(でんさい)」という2つのサービスです。どちらも売掛金に関わるサービスですが、その仕組みや特徴は大きく異なります。
今回は、これら2つのサービスについてわかりやすく解説いたしますので、どちらを選ぶべきかの判断材料にしてください。

【ファクタリングとは?】

ファクタリングとは、企業が保有している「売掛金」(まだ入金されていない売上代金)をファクタリング会社に売却し、早期に現金を得る資金調達の方法です。特に、資金繰りをスムーズにしたい時や、急な資金需要が発生した際に活用されています。

*ファクタリングの基本的な仕組み
①売掛金の発生
企業が取引先に商品やサービスを提供すると、取引先からの代金の支払いは通常、請求書の発行後1ヶ月〜数ヶ月先になります。これにより「売掛金(未収の請求債権)」が発生します。

②売掛金のファクタリング会社への売却
企業は、まだ回収できていないこの売掛金をファクタリング会社に売却します。売掛金の内容や取引先の信用力に応じて、ファクタリング会社が買取可否を審査します。

③資金の受け取り
ファクタリング会社は、売掛金の額面から一定の手数料(ファクタリング手数料)を差し引いた金額を、早ければ即日で企業に支払います。これにより、利用企業は本来入金されるよりも前倒しで資金を受け取ることができます。

④売掛金の回収
・2社間ファクタリングの場合
取引先にはファクタリングの事実を知らせず、企業が取引先から入金を受けた後、そのお金をファクタリング会社に送金します。
・3社間ファクタリングの場合
取引先にファクタリングの事実を通知し、取引先が直接ファクタリング会社に代金を支払います。

*ファクタリングのメリット・デメリット
メリット
・即日から数日で現金化可能:審査が早く、急な資金需要にも対応
・借入ではない:負債として計上されず、銀行融資の審査に影響しない
・担保・保証人不要:売掛金そのものが担保となる
・売掛先の倒産リスクを回避:多くの場合、回収不能リスクはファクタリング会社が負担
デメリット
・手数料が高め:一般的に1%〜20%程度(2社間ファクタリングは手数料が特に高い)
・継続利用で資金繰りが悪化する可能性:手数料分だけ実質的な売上が減少

<電債(でんさい)とは?>

電債(でんさい)は、「電子記録債権」の略称で、従来の紙の「手形」や「指定債権譲渡登記」に代わる電子的な決済手段です。紙のやり取りや印鑑が不要で、すべて電子的に管理・記録されるのが特徴です。電債の運用は、日本の公的な電子債権記録機関である「でんさいネット(株式会社全銀電子債権ネットワーク)」によって行われています。

*電債の基本的な仕組み
①売掛金の発生と電債登録
企業が商品やサービスを提供すると、売掛金(未収金)が発生します。この売掛金を紙の手形に代わり、売り手(債権者)が「電子記録債権」としてでんさいネットに登録します。これにより、債権の内容(支払期日・金額・債務者等)がシステム上に電子的に記録されます。

②でんさいネットでの管理
登録された電子記録債権は、でんさいネットのシステム内でリアルタイムに管理・確認が可能です。債務者(買い手)も自社に対する電債の存在を確認することができ、双方にとって透明性の高い管理が実現します。

③支払期日の自動決済
支払期日になると、登録された内容に基づいて自動的に決済が行われます。売り手は期日に指定口座へ入金を受け、買い手は指定口座から自動で代金が引き落とされます。これにより、紙の手形のように「取り立て」「郵送」「銀行への呈示」といった手間がなくなります。

④債権の譲渡・分割も可能
電子的に記録されているため、支払期日前でも必要に応じて債権を第三者に譲渡したり、分割して一部を譲渡したりすることが可能です。これにより、売掛債権を使った資金調達や債権管理が柔軟に行えます。

*電債のメリット・デメリット
メリット
・ペーパーレス:手形のような紛失リスクがない
・分割譲渡可能:100万円の債権を30万円と70万円に分けて譲渡することも可能
・印紙税不要:電子データのため印紙税がかからない
・手数料が安い:金融機関により異なるが、月額基本料+取引手数料で比較的安価
デメリット
・参加企業が限定的:取引先も電債に対応している必要がある
・即座の現金化は困難:基本的には支払期日まで待つ必要がある
・金融機関の口座開設が必要:でんさい対応の金融機関での手続きが必須

【ファクタリングと電債の主な違い】

ファクタリングと電債は、どちらも売掛金に関わるサービスですが、その性質は大きく異なります。

<現金化のスピード>

ファクタリングが圧倒的に有利です。ファクタリングなら最短即日、遅くても数日で現金を入手できますが、電債は基本的に支払期日まで待つ必要があります。急な資金需要がある場合、この違いは決定的です。

<費用面>

それぞれ異なる料金体系を取っています。ファクタリングは売掛金額に対して1%から20%程度の手数料がかかりますが、電債は月額基本料金と取引ごとの手数料という組み合わせになります。単発利用ならファクタリング、継続的な大量取引なら電債の方がコスト効率が良い場合があります。

<取引先との関係>

取引先との関係についても大きな違いがあります。ファクタリングの2社間契約なら取引先に知られることなく利用できますが、電債は必ず取引先の同意と協力が必要です。取引先に資金調達を知られたくない場合は、ファクタリング一択となります。

<利用のしやすさ>

利用のしやすさにも重要な違いがあります。ファクタリングは売掛金さえあれば、どんな取引先相手でも利用可能ですが、電債は取引先が同じシステムに参加していることが前提条件となります。

<リスクの所在>

ファクタリングなら売掛先が倒産しても多くの場合はファクタリング会社がリスクを負担しますが、電債では基本的に自社がリスクを負い続けます。この違いは、取引先の信用状況が不安定な場合には特に重要な判断材料となります。

【ファクタリングか電債どちらを選ぶ?】

<ファクタリングがおすすめの場合>

・急な資金需要がある
「来週までに設備投資の資金が必要」「従業員の給料日が迫っている」など、緊急で資金が必要な場合は、ファクタリングの即座の現金化能力が威力を発揮します。

・取引先に知られたくない
2社間ファクタリングなら、取引先に知られることなく資金調達が可能です。取引関係に影響を与えたくない場合に適しています。

・売掛先の信用不安がある
取引先の経営状況に不安がある場合、ファクタリングなら回収リスクをファクタリング会社に移転できます。(ただし、売掛先の信用状況によってはファクタリングサービスが利用できない可能性はあります。)

・銀行融資が受けにくい
創業間もない企業や、一時的に業績が悪化している企業でも、優良な売掛金があればファクタリングを利用できます。

<電債がおすすめの場合>

・長期的なコスト削減を重視
継続的に多くの取引がある場合、電債の方が手数料面でのメリットが大きくなります。

・取引先との関係が良好
取引先が電債の導入に協力的で、システム導入にも前向きな場合は、電債の導入がスムーズに進みます。

・大企業との取引が中心
大企業は電債への対応が進んでいることが多く、システム化によるメリットを享受しやすくなります。

【ファクタリングを選ぶ企業が増えている理由】

近年、ファクタリングを選択する企業が急激に増加しています。その理由を見てみましょう。

<経済環境の変化への対応力>

コロナ禍や経済情勢の急変により、企業には今まで以上に柔軟で迅速な資金調達が求められています。ファクタリングは、このような変化に素早く対応できる資金調達手段として注目されています。

<デジタル化の進展>

オンラインでの申込みから契約まで、すべてがデジタル化されたファクタリングサービスが増えており、利用の手軽さが格段に向上しています。

<多様な業種での活用>

建設業、製造業、IT業界、医療・介護業界など、幅広い業種でファクタリングが活用されており、業界特有のニーズに対応したサービスも登場しています。

<リスク管理の重要性の高まり>

取引先の倒産リスクを回避できるファクタリングは、リスク管理を重視する企業にとって魅力的な選択肢となっています。

【ファクタリング選択時の注意点】

ファクタリングを検討する際は、以下の点に注意しましょう。

<信頼できる業者の選択>

ファクタリング業界には、残念ながら悪質な業者も存在します。以下の点をチェックして、信頼できる業者を選びましょう。
・会社の所在地や代表者が明確
・手数料や契約条件が明示されている
・過度に高額な手数料を要求しない
・契約書の内容が明確
・実績や評判の確認

<手数料の比較検討>

ファクタリング会社により手数料は大きく異なります。複数社から見積もりを取得し、総合的に判断することが重要です。

<2社間と3社間の選択>

・2社間ファクタリング:
取引先に知られず最短即日現金化が可能だが手数料が高め(10〜20%)
・3社間ファクタリング:
現金化には数日かかり取引先の同意が必要だが手数料が安め(1〜9%)
どちらを選ぶかは、取引先との関係性や緊急度を考慮して決めましょう。

【まとめ】

ファクタリングと電債、それぞれに特徴とメリットがありますが、現在の経済環境や多くの企業が直面する課題を考えると、ファクタリングの柔軟性と即効性は非常に魅力的です。
特に中小企業にとって、ファクタリングは迅速な資金調達ができ、売掛金の回収不能リスクを回避できる有力な手段です。安定したキャッシュフローにより財務が改善され、得た資金を事業拡大に活用することも可能です。
もちろん、電債も優れたシステムですが、導入には取引先の協力が不可欠で、即座の現金化には限界があります。
会社の状況を整理し、最適な資金調達方法を選択することで、より安定した経営基盤を築いていきましょう。迷った時は、まずファクタリングの相談から始めてみることをオススメします。

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