ファクタリング利用時の経理はどうなる?仕訳処理完全ガイド
ファクタリング利用時の経理はどうなる?仕訳処理完全ガイド 企業の資金調達手段として注目を集めているフ...
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建設業は、資材費や外注費の支払いが先行しがちで、入金サイトが長いという構造的な課題を抱えています。そのため、「今すぐに資金が必要」という事態がしばしば起こります。そんな時に注目されているのが、「即日資金調達が可能なファクタリング」です。
そこで今回では、建設業における資金繰りの実情とともに、その解決策としてファクタリングについて解説。なぜファクタリングが多くの事業者に選ばれているのかを知っていただけるように、メリット・デメリットや実際の導入事例についてもご紹介します。
建設業では、工事の受注から完成・引き渡し、入金までに数ヶ月以上かかるケースが一般的です。一方で、工事の開始時点から「材料費の仕入れ」「外注業者への支払い」「重機や車両のリース費用」「職人や現場管理者の人件費」のような多くの支出が発生します。
このように、支出が先に発生する構造であるにもかかわらず、元請けからの入金は月末締め翌々月末払いというように遅れるのが一般的です。これがはまだ良い方で、数カ月遅れるといったケースもあります。このような構造が、多くの中小建設業者の資金繰りを苦しくしているのです。
もしこれらの支払いが間に合わなければ、単なる少しの遅れでは済まず、現場にも会社全体にも大きな影響を及ぼす可能性があります。だからこそ、即日資金調達の手段を持っているかどうかが大きなポイントになるのです。
この章では、支払いが間に合わないことのリスクについて解説します。
材料が届かない、職人が現場に来ない、重機がリース会社に引き上げられる…支払いの遅れによってこのような恐ろしい事態が起こり、現場の作業停止につながることがあります。1日止まるだけでもスケジュール全体に影響するのが建設現場です。
様々な人と協力して仕事を進める建設現場では、信頼関係が非常に重要です。外注業者や職人への支払いが遅れると信頼を失い、一緒に仕事をしたくないと思われてしまう可能性があります。特に最近は人手不足のため、次から人を集めるのが非常に難しくなります。一度失った信頼を取り戻すことは容易なことではありません。
外注業者・職人だけでなく、材料の問屋、重機のレンタル会社、交通手配業者など、継続して取引している先も、支払いが遅れれば「この会社はリスクがある」と判断し、前払いを求められるようになったり、取引を停止されたりする可能性もあります。こうなると、さらに資金繰りは悪化します。
1つの現場でトラブルが起きると、そこを任せるはずだった人員や機材のスケジュールがずれ込み、他の現場の進行にも影響が出ることがあります。結果として、全体の工期が遅れ、複数の取引先に迷惑をかけるリスクもあるのです。
ひとつの支払い遅延がきっかけで、「この会社に工事を任せても大丈夫か?」と不安視されるようになると、新たな受注が減り、資金の流れもさらに悪化します。「信頼が財産」と言える建設業界では、こうした悪循環に入ると立て直しが難しくなります。
建設業では受注ベースでは黒字の状態でもお金が入ってくるのが遅いことが多いため、支払いと入金のタイミングが合わないと資金ショートを起こしやすい業種です。最悪の場合、利益が出ていても資金が足りずに倒産してしまう「黒字倒産」になってしまう可能性があります。
ファクタリングとは、まだ入金されていない「売掛債権(請求書)」をファクタリング会社に買い取ってもらうことで、期日前に現金化できる資金調達の方法です。つまり、実際の入金を待たずに、その請求書を現金化することができる仕組みです。
ファクタリングには主に「2社間ファクタリング」と「3社間ファクタリング」の2種類があります。2社間ファクタリングは、利用者(建設業者)とファクタリング会社の間だけで契約が完結するタイプで、元請けに知られずに利用できる点が特徴です。スピード重視で資金を手にしたい場合に選ばれることが多く、即日対応してくれる会社もあります。
一方、3社間ファクタリングは、元請けの同意を得たうえで実施されるタイプです。元請け、利用者、ファクタリング会社の三者間で契約が結ばれるため、透明性が高く、手数料も比較的低めに抑えられる傾向があります。入金元である元請けが関与することで、ファクタリング会社としてもリスクが低くなり、条件が有利になりやすいのです。
このように、ファクタリングは用途や状況に応じて使い分けが可能で、建設業における資金繰りの強い味方となり得る存在です。現場を止めないためのつなぎ資金として、柔軟に活用する企業が増えています。
金融機関からの融資を検討する企業も多くあります。たしかに銀行からの借り入れは一般的な資金調達手段のひとつですが、実際にはさまざまなハードルがあります。たとえば、審査には一定の時間がかかり、急ぎの資金ニーズには対応しづらいという現実があります。また、担保や保証人を求められるケースも多く、企業にとっては精神的にも経営的にも負担が大きくなりがちです。さらに、借入金は帳簿上で「負債」として記載されるため、決算書上の見た目が悪化し、今後の信用にも影響を与える可能性があります。
ファクタリングには特に建設業界と相性の良いメリットが多いです。これらのメリットがあることが、多くの事業者がファクタリングを活用している理由といえます。
ただし、デメリットもあります。デメリットも把握することでより適切に利用できるようにしてください。
建設業にとって特に相性の良いファクタリングのメリットについてご紹介します。
① 即日で資金調達が可能
ファクタリングは審査から入金までが非常に早く、最短即日で資金化できます。特に2社間ファクタリングであれば、申込から24時間以内に入金される事例も多数あります。急ぎ現金が必要というケースが多いので、これは非常に大きなメリットです。
②元請けに知られず利用できる(2社間)
経営の安定性を気にされることが多い建設業界では、元請けに知られずに利用できることも大きなメリットです。2社間ファクタリングであれば、元請けに通知されないまま資金化が可能です。
③借入ではないため信用に影響しない
ファクタリングはあくまで売掛債権の「売却」です。借入金とは異なり、負債として計上されないため、財務体質を悪化させることがありません。将来的に融資を検討する際にも、ファクタリングの利用履歴がマイナス要素にはならないのです。
④担保・保証人が不要
中小建設業者にとって大きな障壁となる担保や保証人の問題がなく、資産や個人保証に頼らずに資金調達できるのが大きな魅力です。
もちろん、ファクタリングにも注意すべきポイントがあります。
①手数料が発生する
通常、売掛金の2〜20%程度の手数料がかかります。銀行融資と比べて割高に感じられるかもしれませんが、スピードや柔軟性を重視する場面では十分に見合う対価といえます。
②信用力によっては利用が難しい場合もある
ファクタリングは売掛先の信用力を重視するため、元請けの与信が不十分な場合は断られる可能性があります。
③長期的な資金繰り対策には別手段が必要
短期的な資金調達手段として活用しているだけでは、慢性的な資金不足は解決できません。根本的な対策が必要といえます。資金計画の見える化、受注とコスト管理の見直し、受注前の案件の質の見極めなどと組み合わせることで、キャッシュフロー改善の戦略的ツールとなるでしょう。
この章では、ファクタリングを活用して即日資金調達を実現した中小建設業者の実例を紹介します。
月末に外注職人への支払いが集中するなか、元請けからの入金が遅延。金融機関への申し込みも検討したが、審査に時間がかかる見込みだったため、急遽ファクタリング(2社間)を利用。
利用額:約400万円(請求書売却)
手数料:約10%
入金までの所要時間:申込から8時間以内
結果:職人への支払いを無事完了し、現場の遅延も回避
重機のリース代と材料費の支払いが重なり、一時的に資金ショートの危機。銀行融資は使い切ってしまっていたので、新たにファクタリング(2社間)を利用して即日資金調達を実現。
利用額:約500万円
手数料:約10%
入金までの所要時間:申込から12時間以内
結果:資材の仕入れを滞りなく実施し、工期遅延を回避
即日資金調達が可能なファクタリングは建設業の強い味方といえます。建設業における資金繰りの悩みは根深いものですが、ファクタリングという即日資金調達の手段を活用することで、緊急事態に対応し、信用を守ることが可能です。
手数料が発生するとはいえ、融資と比較してもスピードや柔軟性という点で大変優れており、ファクタリングは非常に有効な資金調達手段です。特に支払いサイトが長く、工事資金が先行しがちな建設業界においては、今後ますます活用されていくでしょう。
「資金が足りない…」と悩まなくて良いように、いつでもファクタリングという資金調達方法を選択できる準備をしておいてはいかがでしょうか。